19.3. 個体群成長モデル
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個体群サイズは、ある空間で新たな個体が生まれて、ある個体が死亡したり、または、移入したり移出するときに伴って変動する
ある個体群、たとえば成熟林の樹木個体群サイズは、長期にわたり比較的一定 また、ある個体群は、急激に爆発的に変化する
もし繁殖が1.5日続けば、その細菌が地球上すべてを30cmの厚さで覆うことになる
個体群生態学者は異なる条件における個体群サイズの時間に伴う変化を、理想的なモデルを用いて分析する
指数関数的な個体群成長モデル
成長モデル : 環境の制約のない理想的な条件の場合
環境の制約のない理想的な条件下での個体群の増加を表す
指数関数モデルでは、新たな世代の個体数は、出生率と死亡率の差を表す1個体あたりの増加率に、現在の個体数を掛けた値となる https://gyazo.com/446a6a2dd7bbb8ee4a2eea6f8afd08f2
最初20個体だったウサギ個体群が各月において出生数は死亡数を上回った 各月の増加が前の月よりも大きくなっている
個体群の成長率は、個体群サイズとともに変化している
個体群成長の増加率はJ字型の曲線となり、典型的な指数関数的成長を見せる
指数関数的な成長モデルは、いかに数十個体のウサギが数百万に増加し、大陸を覆い尽くすのかを説明している
指数関数的な個体群成長は、ある条件下では一般的
機会的な生活史パターンの種は、競争がない場合に有利となり、指数関数的な個体群増加によって生育地をすばやく占有する
人間活動も撹乱の重要な要因で、機会的な特性を持つ植物や動物は、道路の法面、開梱された野原や森林、あまり管理されていない芝地などを占有する
しかし、指数関数的な成長を無限に持続させる自然環境はない
ロジスティック型の個体群成長モデル
成長モデル : 環境に制約のある現実的な条件の場合
個体群成長を支える環境要因
最終的にある空間に生育する個体数を制限する
ある環境が支えることのできる最大個体群サイズ
成長率は個体群サイズが環境収容力に近づくにつれて減少する
個体群が環境収容力に達すると、成長率はゼロになる
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1925年以前はオットセイ個体群は小さく、1000~4500頭
無秩序な狩猟が原因
狩猟が制限されるようになった後、個体群は1935年まで急速に増加し、セントポール島の環境収容力の約1万頭付近で頭打ちとなった
個体群の環境収容力は、種や生育地の利用可能な資源に応じて変化する
たとえば、繁殖場所が少ないより小さい島の場合、オットセイ個体群の環境収容力は1万頭より小さくなるだろう
ある1つの場所においてさえ、環境収容力は固定した値ではない
生物は、捕食者や病気や餌資源を含む群集内で、他の生物と相互作用し、そのことが環境収容力に影響を与える いずれにしても、環境収容力の概念は、自然の本質的な事実、資源は有限であることを示している
生態学者は定常的な生活史パターンをもつ生物の自然選択は、個体群サイズが環境収容力に近い環境で生じる、と予想している
資源をめぐる競争は、環境収容力に近づいた環境で激しいため、子どもの生存より自分の生存にエネルギーを投資する生物が有利になる
ロジスティック型の成長を、指数関数的成長と比較
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ロジスティック型モデルと指数関数的モデルは両方とも理論的な個体群の予測である
自然界では、どちらかにピッタリ一致する個体群はない
しかし、これらのモデルは個体群成長を研究するための便利な出発点になる
生態学者は様々な環境における個体群の成長パターンを予測したり、より複雑なモデルを構築する基盤として、これらのモデルを用いている
個体群成長の調節
環境収容力に達した後、個体群の増加を止める要因はなにか
密度依存的要因
限りある同じ資源をめぐる競争
個体群サイズが大きくなるにつれて競争はより激しくなり、成長率は競争の強度に伴い減少する
個体群の制限要因で、その効果は個体群が大きくなるにつれて強くなる
たとえば、限りある食物の供給は、より多くの個体の間で分割され、出生率が減少する
鳥のクラッチサイズ(雌が1回に産む卵数)は個体群密度、競争車の数の増加に応じて減少した https://gyazo.com/c3156965a79ffbaf07952dbb3c8419b5
密度依存的要因は、死亡率の増加によって個体群の成長を抑制することが多い
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たがいに近接して生育する植物は死亡率が高くなる
ある動物の個体群の場合、過密な条件による病気の感染の増加、あるいは有害排出物の蓄積によって、死亡率が増加する
捕食も密度依存的死亡の重要な原因
捕食者は、被食者が多くなると集中し、より多くの被食者を捕獲する
制限された資源は、食物は栄養分以外にもある
縄張りを防御する多くの脊椎動物の場合、空間の利用可能性は繁殖を制限する たとえば、岩礁島における営巣場所の数は、カツオドリのような繁殖のためのなわばりを維持する海鳥の個体群サイズを制限する 密度非依存的要因
多くの自然個体群において気象のような非生物的要因は、他の制限要因が大きく作用する前に、個体群サイズを制限したり減少させたりする 個体群の制限要因で、その強度が個体群密度と相関していないもの
そのような要因が作用している個体群の成長曲線を見ると、指数的な成長に引き続いて、頭打ちになるよりもむしろ、急激な減少のように見える
植物の甘露を吸汁するアブラムシ個体群における密度非依存的要因 https://gyazo.com/f710a3272ae22fbdb7bc1dc0369ef5ab
このような昆虫は、春に指数関数的に成長し、夏になって気温が暑く乾燥すると急激に死亡する
数個体は生き残り、環境条件が好転すると個体群が再び成長する
たとえば、多くの蚊やバッタのような昆虫の個体群の場合、親個体は翌年の個体群成長を行う卵を残し、完全に死亡する 気象の季節的変化に加えて、火事、洪水、嵐のような環境の撹乱も、個体群サイズの大きさに関係なく個体群サイズに影響する
長期間にわたりほとんどの個体群は、密度依存的要因と密度非依存的要因の複雑な相互作用によって調節されている
ある一部の個体群は、競争や捕食のような生物的要因によって決定された環境収容力に近い個体群サイズでほぼ安定に保たれているが、長期間のデータで知られている個体群のほとんどは個体群サイズが変動する 個体群のサイクル
昆虫、鳥、哺乳類の個体群密度は劇的に変動し、驚くべき規則性がある
「急速な」指数関数的成長で大発生し、その後、個体群は「崩壊」し最低レベルにまで減少する
注目すべき例は、レミング個体群の規則的な増加と減少 ある研究者は、レミングの食物供給における自然変化が潜在的な原因であるという仮説を立てている
もう1つの仮説は、増加したときの混み合い度が生理的機構を介して繁殖を減少させるというもの
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約10年終期で、カンジキウサギとカナダオヤマネコの個体群は急速な増加と急激な現象を繰り返している
3つの仮説が提案されている
周期は過度の摂食に起因する冬の食物不足によって生じるという仮説
周期は食物資源の制限と過剰な捕食の組み合わせによるという仮説
最近の野外研究は、カンジキウサギの10年周期の変動はおもに過剰な捕食が原因であるが、カンジキウサギの餌資源供給も原因となっていることを支持している